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バリ島の買い物でレジ袋が消えた理由【深イイ話】

バリ島, エコバッグ

今年バリ島に遊びに来た方は知っていると思いますが、今年の1月からスーパーやコンビニでのレジ袋の使用が禁止され、プラスチック製のビニール袋ではなくエコバッグを使用して買い物をするようになりました。

 

世界有数のリゾート地として知られるバリ島ですが、観光地から離れた場所には、ごみがあちこちに落ちてて残念に感じた方も多いでしょう。バリ島はアジアでも深刻なごみ問題を抱える観光地であるというニュースを見たことがあるかも知れません。

 

今回の記事では、観光産業発展が著しいバリ島のごみ問題とその対策や状況、どういう取り組みが行われているのかをお伝えします。

 

 

 


バリ島の買い物でビニール袋が消えた日

バリ島,コンビニ

レジ袋廃止を伝えるポスターが張られてるバリ島のコンビニ

昨年までショッピングモールやスーパー、コンビニなどで買い物をする時は、お店のビニール袋に入れて商品が渡されていました。

法令が実施されてから買い物をする時は自分でエコバッグやトートバッグを用意するか、もしくはお店側がビニール袋以外の素材で作った買い物袋を用意するという風に変わりました。

元々買い物バッグを持ち歩く習慣なんかなかった私は、コンビニで日用品や食べ物をついつい買い過ぎてから、エコバッグを持っていないことに気づき、仕方なく手持ちで持ち帰るということが何度かありました 。

今はバッグを畳んで持ち歩くようになりましたが、忘れた時はスーパーのレジの横に置いてあるエコバッグを買ってそれに入れて貰うことがあります、、いつの間にかエコバッグが家に溜まってしまいましたが、衣類を入れてランドリー袋としても活用しています 。

 

 

バリ島のごみ問題について

バリ島, ごみ

バリ島のクタビーチで、重機でゴミを集める作業員(2017年12月19日撮影、資料写真)by AFP


美しいリゾートのイメージなはずが、海岸や森、河川にはお菓子やビニール袋、ペットボトルや使い終わったシャンプーのボトルなど、ガラクタがわんさかと落ちてる光景を見てがっかりしたことがある方も多いと思います。

年々発展が進むほど、ごみも増えて溜まり続ける状態がひどく、ニュースでもバリ島のごみ問題が取り上げられて話題になりました。AFP通信社によると「1万7000以上の島々から構成されるインドネシア共和国は、中国に次ぐ世界第2位の海洋ごみ排出国で、毎年排出されるごみは129万トンという膨大な量に達する」とのとことでした。

 


Bali's "garbage emergency"

事態の深刻化を受けてバリの当局者は昨年、ジンバランやクタ、スミニャックといった人気のビーチを含む6キロにわたる沿岸一帯に「ごみ緊急事態」を宣言しました。ビーチに流れ着くごみは雨季のモンスーンが吹く時期が最も多く、1日で50~100トンものごみが収集されたそうです。

 


A Diver Filmed Shocking Footage Of Plastic Waste Off The Coast Of Bali

英国人ダイバーのリッチ・ホーナー(Rich Horner)氏が2018年3月に撮影した水中映像です。バリ島から約40キロに位置するマンタポイント(Manta Point)という有名なダイビングスポットで、プラスチックなどのごみがあふれる海の様子が収められています。ホーナー氏が投稿したフェイスブックの動画は反響を呼び100万回以上再生されています。

 この衝撃的な映像はインドネシア国内でもニュースとなり、華やかなリゾートのイメージばかりが取り上げられるバリ島の観光産業に大きなインパクトを与えました。


バリ州政府を動かした子供達『Bye Bye Plastic Campaign』

バリ島,バイバイプラスチックキャンペーン

SNSやニュースによるごみ問題が注目された背景があって、バリ島のレジ袋禁止法令に繋がったことは間違いないと思いますが、もうひとつ知っておくべきストーリーがあります。

強制的にレジ袋の使用が禁止になる2019年よりも前に、実は州政府はプラスチック使用削減の為にレジ袋を2円ぐらいの有料にするという政策を取っていましたが、効果は出ず失敗に終わりました。

 「2018年までにレジ袋を廃止する」という目標を、バリ島州政府に具体的な政策として実行を取らせたのは、Green Schoolという学校に通う、当時12歳のムラティと10歳のイサベルという二人の姉妹でした。

学校でマハトマガンジーやネルソンマンデラ大統領など、歴史上に名を残す偉大な人類のリーダーについて学んでいたムラティとイザベルは、そういった凄い人達のようになる為に、子供の自分達でも何かできることはないかと話し合いました。

「ある夜二人で、バリ島が直面している問題についてすべて洗い出したところ、最も際立った問題はプラスチックのごみでした。私達こどもでも現実的に目標にできるものを考えました。」とムラティは語ります。

世界のごみ問題の調査を進めた結果、レジ袋の有用性の無さ、諸外国でも取り組まれているプラスチックビニール袋の廃止活動から刺激を受け、『Bye Bye Plastic Campaign(バイバイレジ袋運動)』をスタートさせました。

インターナショナルスクールや地物スクールの同年代の学生達ともチームを作り、仲間を増やしながら、ごみ拾い活動、エコバッグ配布、空港での署名活動を通し、多くの困難がありながらも試行錯誤を繰り返して州政府に声を届け、ついには「バリ島からレジ袋使用を廃止する」という合意も獲得しました。

ムラティとイザベルは、本人達が取り組んだ活動と成果をTEDにも出演して語っています。世界を変えるリーダーを育てる学校とし教育方法が注目されるGreen Schoolの生徒の実例としてもよく語られるストーリーです。番組の中で彼女たちは「子供には無限のエネルギーと世界が必要とする変化を起こすモチベーションがあります。だからこの美しくも厳しい世界を生きる子供たちに向けて言います、変革を起こしましょう」というメッセージを送っています。

『Bye Bye Plastic Campaign』はプラスチックビニール袋を廃止することから、人々の意識を変え、行動を変えさせて行くことをゴールにしています。この運動を通して学んだ教訓や大人顔負けの実行力、粘り強さや判断力、共感を呼び起こす力を持ったムラティとイザベルのプレゼンはとても素晴らしいので、ぜひ見てみて下さい。


Our campaign to ban plastic bags in Bali | Melati and Isabel Wijsen


環境配慮への意識の高まり

バリ島, ごみ拾い

週末ビーチのごみ拾い活動に参加する人々

 

レジ袋廃止と同時にビーチや公園などパブリックな場所では、燃えるゴミと燃えないゴミを分けてゴミ箱の設置が増えました。会社がお休みの週末は外国人もローカルの人々も一緒に地域のコミュニティーに交わり盛んにごみ拾い活動が行われています。

 

スターバックスやマクドナルドといった国際飲食チェーン店のみならず、バリ島内のカフェやレストランでは、紙、ガラス、ステンレス、竹などでできたストローが使用されたり、エコロジーを意識したサービスの取り組みが盛んに行われているので、人々の環境に対する意識もちょっとずつ変化しているように思えます。


まとめ:持続可能な産業開発に取り組む

 今年は日本でもSDGs(国連が定めている持続可能な開発目標)について、書店や企業のホームページ内で目にする機会が多く、自分達でもできる環境に対する取り組みについて、世間の関心が高まっているように思えます。

持続可能な社会の実現の為には、国も企業も個人も同じ方向に向かって歩んでいく必要があります。バリ島はインドネシアと世界を代表するリゾートとして模範となるように、Green Schoolを始めとする学校や環境意識の高い企業が主導を取り、観光産業を良い方向へと発展して行くことが期待されます。

自分でもできる行動の第一歩としては、普段使っているもの、食べるもの、消費するものが環境に与える影響を正しく理解し、プラスチック袋を使わずエコバッグを持ち歩き、ごみはちゃんと持ち帰ったり、ごみ箱に分別したりすることだと思います。

住み心地の良い社会をつくるためにできることからやっていきましょう。